'*★ アメリカの子供 ★*'
留学中(1994-1998)にニューヨーク州でベビーシッターをしていたときのことです。
その1:
その日は兄妹をサッカー場に送って行くことになっていました。おにいちゃんのダニー
がサッカーの練習をし、妹のエミリーは私と見学の予定。ところが、車で連れて行く途中で、ダニーが「サッカー用の運動靴を家に置き忘れてきた!とりに帰る時間がない!!」と言いだし、私に「お願いだから(ひとりで)家にとりに行ってきて欲しい」というので、サッカーの練習場で2人をおろし、私が彼の靴をとりに戻りました。往復で15分くらいです。
そのことをあとでお母さんに報告すると「ニューヨーク州の法律では、保護者が必ず子供と一緒にいなくちゃいけないの。たとえ5分でも、子供と離れちゃいけないから今後はしないでね」と言われました。
こういう場合は、練習に遅れても2人とも車に乗せ運動靴をとりに帰るか、時間がないのならダニー運動靴をあきらめなくちゃいけない、とのことでした。
その2:
その日は、夕方から子供たちを学校の校庭で遊ばせることになっていました。校舎の南側と東側に滑り台やジャングルジム、砂場などの遊び場があります。南側からは東側が見えません。2人はしばらく一緒に南側で遊んでいたのですが、妹のエミリーが「あっち(東側)で遊んできていい?」と聞くので、私は快く了解しました。
しばらく遊んでいるとお母さんが子供たちを引き取りにきました。2人が別々の場所で遊んでいることを知ると、「ニューヨーク州の法律では、保護者の目の届かないところで遊んじゃいけないことになっているの。これからは別々に遊ばせないでね」と言われました。
私からは見えなくても、東側にもたくさん子供がいるし、ほんの10mくらい先のところです。でも、私が子供たちを預かっている以上、2人は私の見えないところへ行ってはいけないそうです。
家の中でも、子供だけ残して大人が出かけることは、ニューヨーク州の法律では禁じられているそうです。
その3:
別のベビーシッター先です。下校時、スクールバスは決められた時間に、各子供の家の前でそれぞれの子供を降ろすのですが、私のベビーシッター先はバスが入れない細い道があるため、家から500mくらい先の道路で子供を降ろすことになっています。
親(保護者)は決められた時間にその場所に迎えに行かなくてはなりません。家の中からバスが見える距離だし、子供はひとりで歩いて帰ることもできるはずです。でも、バスの運転手さんは、保護者がいなければ子供だけをバスから降ろしちゃいけないそうです。私が迎えに行く日は、親が先生に私が彼らを迎えに行くことを伝え、先生がバスの運転手さんにリストを渡しています。
決められた時間と場所に保護者がいなければ、家がすぐ近くにあっても、運転手さんは子供をバスから降ろしてはいけなくて、子供はデイケア(保育園)に連れて行かれます。そうなると、親はデイケアまで子供を引き取りにいかなくちゃいけません。デイケアではそういう子供を分単位で預かり、親はお金を払って子供を引き取らなくてはならないそうです。
一度だけ、私がいなくて、バスが行ってしまったことがありました。15分くらい待って自分が約束の時間を間違えて30分遅れて到着したことがわかったのですが、しばらく途方にくれていると、スクールバスが反対側からきて、私を見ると止まってくれました。子供たちも運転手さんも「やっぱりいた!」と嬉しそうにしてくれて危機一髪でした。
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私が子供の頃は、学校からひとりで帰って怖いと感じたことはありませんでした。なのでその頃は、「法律は面倒だ」くらいにしか思っていませんでした。でも最近、日本では物騒なニュースを聞きます。子供が下校時に知らない人に声をかけられ、連れ去られる.....当時の私の認識は甘かったのかも、と思う今日このごろです。
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