留学日記’98

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4月14日(火) 晴れ

ケチャップ!


ディビッドとジャスティンのベビーシッターを始めてもう2年半。

はじめてすぐのころ、ふたりをマクドナルドへ連れていったときのことです。

子どもの遊べるプレイルームへ持っていって食べるのですが、かれらは1秒でも早く遊びたいらしく、注文するとすぐプレイルームの方へかけこんでいきます。

走っていく彼らに「(フレンチフライに)ケチャップが欲しかったら、自分で持っていきなさい!」と声をかけたのですが、ふたりともいらなかったらしく、あとから私だけが自分の分を持っていきました。

3人で食べはじめると、ジャスティンがフレンチフライで遊びながら、私のケチャップをつけて食べました。

今なら、1度「いらない」と言ってその1分後くらいに「やっぱりいる」と言ってもおかしくないのがアメリカ社会だとわかるのですが(^^;、当時の私は「1度いらないと言った手前、『やっぱり欲しい』とは言えないんだな」と思いながら、私のを食べさせていました。

さて、帰る時間になり3人でマクドナルドを出ました。私とディビッドは話しながら100Mくらい先の駐車場の車へ向かうと、ついてきているはずのジャスティンが、マクドナルドの出口のところに立ち止まっています

私はあわててジャスティンのところに戻り、「帰ろう!」と手をひいたのですが動きません。

「どうしたの?」と聞くと「僕がケチャップって言ったときに...」と言うので、「ははぁ、やっぱりあのときケチャップが欲しかったんだな」と思い、「じゃあ、今度ね(^^)」と言って手を引きました。

すると、「ノーノー...ケチャップって言ったのに...」と動かないので、「今日はもうケチャップはいらないでしょう?次には絶対忘れないから」と言いました。が、

「ノー!ノー!ケチャップ!ケチャップ!!!」

と言うので、

「わかったわかった。じゃあ、どうしてケチャップが欲しいのか説明してごらん。そうしたら持ってきてあげる」と言うと、

「ノー!ノー!ケチャップ!ケチャップ、ケチャップ、ケチャップ!!!」と泣き叫ぶのです。

「....」

しょうがないので、嫌がるジャスティンを無理矢理抱きかかえて車へ連れて行きました。

ディビッドはもうバックシートに座ってシートベルトまでして、涼しい顔で待っていました。

「ディビッド!どうしてジャスティンはケチャップが欲しいのか聞いて!何を言いたいのかわからないの」とディビッドに助けを求めました。

すると、

「Keiko、ケチャップじゃないよ。ケチャップだよ。」

「は?」

.....そう、Ketchup(ケチャップ)ではなく、Catch up me!(待って!)だったのでした。

私とディビッドが先に車に向かっていたので、ジャスティンは「待って!」と言ったのでした。それが誰にも聞こえず、私もディビッドもそのまま歩いていたので、いじけて動かなかったのでした。

泣き叫ぶジャスティンと、言葉をなくした私。

ディビッドが涼しく「ジャスティン、Keikoは、Catch up を Ketchup って思ったんだよ。」と言うと、ジャスティンはぴたっと泣きやみ、「Ketchup, Catch up」と何度も口の中で繰り返して、その言葉が似ていることに気がついたのでした。

そのあとは大笑いになったので、私もほっとして、彼らを家まで連れてかえりました(^^)。








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