留学日記’98

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3月18日(水) 雨

お金をとられそうになったこと(後編)


(前の日記からの続き)

このことから、ローズマリーがお金を返す気がないのがわかると思います。あるいは返せないのかもしれません。が、安易に私と口約束するローズマリーに、正直言って、すでに同情の余地はありませんでした。

お金をもたずに図書館に現われたその日(火曜日)、彼女は、

「ごめんなさい。今日はダメだったけどあさっての木曜日までには持ってくる」
「うーーん、それじゃあ、もう一度、“木曜日までに返す”って書いてサインして」
「もちろん!信じてね、絶対返すから」

彼女はこの「信じて(Trust me!)」という言葉を何度使ったでしょう。もうすぐ、学期は終わってしまいます。彼女がこのまま引き延ばし続けて学期が終われば、私への借金は踏み倒したままどこかへ引っ越してしまうでしょう。


なんとしてでも返してもらう


私は次の日、ESL(語学学校)の先生に会いに行きました。そして「相談にのって欲しい」と状況を説明したあと、下記の質問をしました。

訴訟を起こすとしたら、手続きはどうすればいいのか?
→ 手続きをする用紙があるので、それに書いて提出。用紙は有料(20ドル)だが、訴訟に勝てば、その手数料もすべて相手が払わなければならない。
→ この件なら、証拠があるので、私が勝つだろう。
→ 裁判所から呼び出しがかかって、相手が来なければその場で私のの勝ち。

書類を提出から訴訟を開始するまでの期間は?
→ うちの町は小さいので巡回の裁判官が来る。たぶん、“急ぎ”というのがあって、1週間以内には来られるだろう。

訴訟を起こしたことで彼女の移民手続きにダメージはあるか?
→ そのことで移民権をとれなくなることはないだろう。ただし、訴訟中と、彼女が負けたとして支払いを命じられて支払わない間の移民手続きはストップ。彼女は移民できない。

お金を払わないことを学校に伝えたら、学校は何かしてくれるか?もしくは彼女の卒業に響くことはあるか?
→ ないと思う。学校は何もできないと思う。

うちの学校に悪質な組織はあるか?
→ わからない。フラタニティ(fraternity)、ソロリティ(sorority)(注意:学生が作っている組織)の中にはかなり結びつきの強いものがあるようだ。


これで私の行動は決まりました


木曜日に、やはり彼女はお金を持ってきませんでした。

「ごめんなさい。来週の月曜日には返す。もう一度、サインするね」
「期末試験もはじまるし、そうそう私もあなたに会ってられないの。今学期の最終日の来週の木曜日まで待ってあげる。」
「....」
「でももう、それ以上は何があっても待てない。私はどうしてもお金を返してもらいたいの。」
「....」
「木曜日に学期が終わったら、期末試験の期間は1週間。そのあとあなたはすぐ引っ越すつもりでしょう?絶対に返してもらうためには訴訟を起こすしかないみたい。」
「....」
「木曜日に来なかったり、お金を持ってこなかったら、その足で(訴訟のための)書類を提出するつもり。裁判は1週間以内に行われる。つまり期末試験期間中ね。」
「....」
「私が勝つに決まってるよね。あなたは私が貸している60ドル+手数料20ドルを払わなくてはならない。私が弁護士に相談すればその分もね。もし払わなければ、あなたはずーーとアメリカ人にはなれないわ。」
「....」

「木曜日以前にお金を返せるようだったら、家に来てね。住所を渡しておくね」

(と言って、でたらめの住所を渡す)

「でもドアの下に入れるなんてのはだめ。私にきちんと手渡してね」

(と住所を本当らしくする)

「ところで、私にお金を借りてることをあなた、誰かに話した?」

「...ううん」

「じゃあ、誰にも言わないって約束して。事を大きくしたくないの。もし、誰かがあなたの変わりに私に交渉してくるようなことがあったら、その場で裁判の準備をするから。私は第3者に関わってほしくないの。それから、脅しは犯罪だって知ってるわよね。」

「...わかった」

「私が今話したことを繰り返してくれる?きちんとあなたに伝わったか確認したいの。『聞いてなかった』ってあとで言われるのって嫌いなの。」

(彼女は全部繰り返す)

「ありがとう。実は、私のボーイフレンドは弁護士なんだけどね、裁判のときに私が事故にあってたり、怪我をしたりすると、それだけであなたに不利になるんですって。あなたも私が怪我をしないことを祈っててね。私も気をつけなくっちゃ。」(でたらめ)

「じゃあ、木曜日に。なにかあったら電話してね。電話なしのいいわけは通用しないわよ。電話番号をなくしたなんていいわけもね」

多少やりすぎたかもしれませんが、学期中に返してもらうにはひとつでも抜け道をつくることはできません。

私がESL(語学学校)のオフィスに先生に相談に行ったときに、話を聞いていた受付けの学生が、「恵子、たぶんそのお金は戻ってこないわよ」と言ったことからも、ただ待っているだけでは、この種類の人からは返ってこないことがわかります。

そしてなにごともなく木曜日がきました。


やっと彼女はお金を持ってきました


私は「ローズマリーはお金を返した」と書いて署名して渡しました。彼女は、

「私はうそつきじゃなかったでしょう?」と言うので

「もちろん!信じてね(Trust me.)、私はあなたが絶対返してくれるとずっーーと思ってたのよ」と言ってあげました。


その後、彼女に会うことは2度とありませんでした


支払いを引き延ばすこと以外頭にない彼女が、復讐してくるなんてことは考えられませんでしたが、その後も念のため警戒しました。

でも、住所は違うものを渡しているし、私はそのあとすぐ引っ越す予定で電話番号は変わり、夏には日本に帰ったので、9月になってここに戻ってきたときにはすっかり忘れていました。


もちろん、何も起こりませんでした





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