「スプートニクの恋人」


9月17日(金) くもり


留学中はほとんど本を読む時間がなかったし、シリコンバレーへ移動してからは精神的な余裕がなかったんだけど、最近また読み始めました。

村上春樹は、最初「ノルウェーの森」が好きじゃなくて、でも流行りだったので「アンチ村上春樹」を語るには(^^;全部読まなくちゃいけないな、と思って読み始めたのがはじまり。彼の作品はエッセイを含めてほとんど全部読みました。他を読んでいるうちにはまってきました。

私は「羊をめぐる冒険」シリーズが好きで、これは、精神的な心の動きよりもなぞ解きを中心としたストーリー。「スプートニクの恋人」も、どちらかというとこういう系列です。

語り手の男性が、友達の女性に起こった出来事を語っています。で、この女性が22歳で始めて恋に落ちた相手が女性だった、というストーリーです。

最初、説明書きを読んだときは、「濃い〜」内容を想像していたけど、やっぱり村上春樹の他の作品の語り手の「ぼく」と変わらずに、さらっと語られていました。

語り手の男性は、主人公の女性、すみれのことが好きなんだけど、そのことで思い悩んだり、落ち込んだりということは描かれていなくて、ストーリーを楽しめました。

後半は、彼らがギリシャに行くんだけど、村上春樹自身が「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を書いたときにはギリシャに住んでいたというだけあって、風景の描写とか季節の感じがほどよく描かれていていい感じでした。

「ダンスダンスダンス」のハワイの雰囲気で書かれてのもよかったけど、今回のギリシャの雰囲気も似たようなものが伝わって来てよかったです。

村上春樹の作品は、大人気作家だけあって、失敗作とか傑作とかってすぐに書評されちゃうんだけど、この「スプートニクの恋人」はどんな風に書かれたのかな?...でも、私にとってはどんな風に書評されちゃっても関係ないんです。

大失敗作と言われた「国境の東、太陽の西」は私は好きだったし、作品に比べてたいしたことない、と言われているエッセイは、彼の暖かみが伝わって来て大好きです。それにライフスタイルも好感がもてるし。

ただ、この「スプートニクの恋人」は、今までの作品に比べてちょっとこじんまりとまとまってしまっていた感じがしました。あぁ、彼の大作がなつかしい!!!と思ったのは私だけでしょうか?

ちなみに「スプートニク」というのは、ソ連の打ち上げた人工衛生の名前で「共にまわる」という意味があるそうです。村上春樹のつけるタイトルには定評があるけど、今回も宇宙的で素敵ですよね(^^)








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