2月14日、日曜日


2月 14日(日) 晴れ


もう、10年以上も前のこと。

当時、私にはボーイフレンドがいました。隠し事もなくて、なんでも話せる仲のいいカップル。

ところが、私たちはある日、大喧嘩をしました。

その年の2月14日の日曜日に私がアルバイトを入れてしまったからです。私のバイトは結婚式場のウェイトレス。だから働くのはほとんど土日。休日は結婚式が多く入るので稼ぎどきです。バレンタインと日曜日が重なったその年、私は何の迷いもなくバイトを入れました。

そのことに普段、やさしかった彼が、ものすごく怒ったのです。

実は私がバイトを入れてしまったのには、他にも理由がありました。

私は当時すでに、行事を祝うことが嫌いだったのです。

私はそれまで、特に不幸な出来事を経験したことはなかったのですが、「不幸になる自分」を予感することはよくありました。

今、どんなに仲がよくても、自分たちが絶対に壊れない、と、誰に言えるでしょう。また、私か彼が、事故にあったら次の年のバレンタインを祝えなくなるかもしれない、そんな日は来ない、と誰に言えるのでしょう。

だけど、当時の私は相手に説明することはできませんでした。自分の考えてることを笑い飛ばされたくはなかったし、へたに話したら、まるで自分たちが不幸になることを望んでいるようにとられると思ったからです。

「いやなものはいやなの!予定を変えるつもりはないわよ!!」

「わがままな奴だ!!!」

でも、彼の方もたぶん、別の不安があったのです。

私が、毎年、クリスマスとお正月、12月の彼の誕生日と、5月の私の誕生日の当日に会うことを避けることに。

12月と5月、半年に一度のことならば、それなりにうやむやにできたような気がします。

でも、12月のあとの2月14日、日曜日。

だけど、私もショックでした。彼が怒ったことに。その喧嘩の痛手は大きく、お互いが気がつかないまま、大きな亀裂が入ってしまいました。

もうずっと昔のことなので、私にもいろいろなことが起こるので、彼のことを思い出すことはないのですけど、2月14日が日曜日の年だけ、なんとなく苦い後悔とともに思い出します。

もちろん、別れた原因は他にもありますが、もしあのバレンタインが日曜日でなければ、何年かたったあと、彼が不思議に思って普通に私に質問していたら...今でも別れることなくつきあっていられたんじゃないかな、って。








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